クリスマスにぴったり。オーダーメイドの子ども帽子。

[ チルドリン vol.08 2006年発行より ]

もうすぐクリスマスですね。
今年のキッズへのプレゼントは、
いつもとは違うちょっと特別なものを用意してみませんか?
そこで、世界にひとつのオリジナル帽子はどうでしょう。
気軽にオーダーメイドすることができる
すてきな帽子のお店「yadocurry」があります。

東京都文京区、本郷通りと不忍通りが交わる大きな交差点の一角に、カフェや雑貨屋さんが入った5階建ての雑居ビルがあります。ここの2階に、週末の土曜日と 日曜日だけ開店している小さな帽子屋さんがオープンしました。名前は「yadocurry(ヤドカリー)」さんです。帽子の専門学校に通う仲間5人が集 まって、今年の9月に始めたばかりの新しいお店です。

今回取材させていただいたのは、yadocurryのメンバーのひとり、細貝麻衣さん。学生の傍ら、オーダーメイドで帽子を製造販売している若き帽子デザイナーです。
「yadocurryを始めたのは、作業できるアトリエが欲しかったのが一番の理由です。『アトリエを構えるなら、作品を人に見せる場所も欲しいね』とみ んなで話し合った結果、ビルの一室を借りてショールーム兼ショップを開くことにしました。いまは5人のデザイナーがこの場所を共有して制作活動をしている ので、お互い刺激しあうことができてとてもいい環境だと感じています」
「yadocurry」そのユニークな名前の由来は、ビルの1室を借りて学生が経営していることから「宿借り=yadocurry」なのだそうです。表記 をわざと「curry」にしたのは、「刺激しあうスパイシーな関係」という意味が込められています。トレードマークのヤドカリのイラストは、背負っている 円錐形の貝殻がまるで大きな帽子を被っているようにも見えて、「yadocurry」はまさにこのお店にぴったりのネーミングです。

細貝さんがつくる帽子は、すべて手づくり。「被る人の個性を生かせる帽子」をコンセプトに、デザインから製造、販売までの工程すべてを細貝さんひとりでやっ ています。販売価格は、セミオーダー(ある程度決まっているかたちの帽子に色や素材を変更可能)で3千円―1万円くらい、フルオーダー(かたち、色、素材 などすべて新しくデザイン)でも1万円前後と、オーダーメイドにしてはかなりリーズナブルな設定です。また、以前は自分用や友人のために帽子をつくってい た細貝さんですが、お店を始めるにあたり、子どもサイズの帽子もつくるようになりました。
「私は頭が小さいので、自分の帽子をつくるうちに子ども用もつくるようになったんです(笑)。まだお店を始めたばかりですが、オーダーメイドの子ども帽子 も次第に注文が入るようになりました。お客さんによっては親子で似たデザインにしたり、素材や色を変えておそろいの帽子にしたり、そんな楽しみ方をしてい る人もいます。製作に関しては、学校の課題だと自分の好みでつくれるけれど、yadocurryで注文を受けるオーダーメイドだと、その人に似合う帽子を 考えなければならない点が難しいですね。でも、お客さんとの共同作業でつくると、自分だけではつくれないような帽子ができあがることもあって楽しいです。 被る人のことをイメージしながら、心をこめてつくる……この気持ちは、好きな人にバレンタインチョコをつくるような感じに似ているのかも(笑)。完成した 帽子を見て感謝されたり喜んでもらえたりするときが、やりがいを感じられる瞬間です」と、細貝さん。お客さんと一緒につくることで、細貝さん自身も一緒に 成長する、yadocurryはそんな等身大の帽子屋さんだということがわかりました。

取材をしていると、ある男の子がお母さんと帽子をつくりにyadocurryにやってきました。実は以前、女子大で児童教育を学んでいたこともあるほど、子どもが大好きだという細貝さん。緊張した男の子にニコッと笑顔を向けて心をリラックスさせ、どういう帽子 をつくろうか話し始めました。
「どんなかたちがいい?」「何色が好きかな?」

生地見本帖を眺めながら、細貝さんとお客さんの相談が始まります。色とりどりの生地見本を見て、小さなお客さんもワクワクしている様子。さて、どんな帽子ができるのでしょうか。
オーダーメイドの楽しみはこういったワクワク感です。自分の好きなデザインを注文して、自分のためにつくってもらう喜び。ほかの誰にも真似でもない自分だ けのオリジナル帽子はきっと思い出に強く残り、大切に使うことになるでしょう。どんどん成長していく子どもだからこそ、そのときに似合う心のこもったプレ ゼントを贈りたいですね。もちろん、キッズにとって最高の贈り物は、ママの手づくりアイテムかもしれません。けれども、こんなすてきなオーダーメイドがあ るのなら、不器用なママが無理にお裁縫をする必要もないですよ! すてきなプロの卵が、スペシャルな帽子をつくってくれます。

【access】
yadocurry(ヤドカリー)
〒113-0021
東京都文京区本駒込2-28-28 ハンズガーデン本駒込2F
12:00~19:00(土日のみ営業)
www.yadocurry.com

【profile】
ほそがいまいさん
1979年生まれ。大学在学中にRaRaRa Hatに出会い帽子に興味を持つ。大学中退後、2004年サロンドシャポー学院帽子科に入学。2006年yadocurryを立ち上げ、デザイナーとしても活躍中。

[ チルドリン vol.08 2006年発行より ]