働くママを支える薬、もっと知りたい漢方のこと。

[ チルドリン vol.09 2007年発行より ]

女性特有の症状を、やさしい漢方で治してみませんか?

仕事に家事に子育てに、ついついがんばりすぎてしまう“働くママ”。
最近、カラダの不調を感じていませんか?
特にどこが悪いわけでもないのに、いつもなんとなくだるい・・・。
そんな症状を持つママに、薬を飲む前に知ってほしいことがあります。
それは、薬だけど、西洋薬とはちょっと違う「漢方薬」。
カラダ全体の不調をひとつの症状と捉え、特に女性特有の症状に有効です。
女性のための漢方薬に詳しい「ダイナメディカル根津クリニック」の院長、定形綾香先生にお話を伺いました。

頭痛や肩こり、冷え性や生理不順……このようなカラダの不調を、日頃から感じている女性が増えてい ます。それも、具体的にどこが悪いというわけではなく、「なんとなく調子が悪い」「やる気がない」といった、はっきりとした原因が分からない人が多いのだ そうです。仕事をしながら家事と子育てを両立している“働くママ”のなかにも、同じような症状を抱えている人がいるのではないでしょうか?
「以前に比べて働く女性が増えたので、仕事や職場環境のストレスによってそのような症状が出る人もいます。さらに、家庭を持っている方だと、家事や子育て まで両立しなければなりませんよね。そのすべてをがんばりすぎてしまって、カラダの調子が悪くなってしまったという女性も少なくありません。こういった女 性が抱えている特有の症状は、漢方薬を使って治してみるのもひとつの方法だと思います」

そう話すのは、漢方治療に詳しい「ダイナメディカル根津クリニック」院長の定形綾香先生。女性ならではの視点で、生活や精神面まで考慮した診察・治療を行っている女医さんです。今回は、女性のための漢方をテーマに、定形先生にお話を伺いました。
「一般的に、生薬(天然の植物や産物を材料とした薬品)を何種類か混ぜて煎じて飲むのが、『漢方』と呼ばれるものです。西洋薬との違いは、痛みに直接効か せようとするのではなく、カラダの症状と心の症状を一緒に考えて、全体に乱れがあるのではないかと考えるところにあります。たとえば、『イライラして』 『頭痛もして』『胃の調子も悪い』人がいたとします。
この場合、西洋薬で治そうと思ったら薬を3種類飲まなければなりませんが、漢方では全部まとめてひとつの症状と考えた治療を行うのです。ひとりひとりの体質に向き合って薬を出せるところが、漢方のいいところだと思います」

定形先生が漢方治療を女性にすすめるのには、ふたつの理由があります。ひとつは、生理を伴う症状や更年期障害などは西洋薬だと対応しにくい部分があるという 点。「カラダの調子が悪いのに、病院で検査しても何も見つからなかった」と相談に来る女性の患者さんが多いというのも、いかに女性特有の症状がデリケートなものであるかを表しています。もうひとつの理由は、痛み止めを飲んだりホルモン剤を打ったりするよりも、生薬の力でカラダの中を調整していく漢方の方が、女性にとってやさしいということ。漢方は、ひとりひとり異なる女性特有の症状に対して幅広く対応できる薬なのだと定形先生は教えてくれました。
「漢方では、生理に伴う症状にターゲットを当てた処方というのが、昔から使われていました。生理不順、月経前症候群(生理前にイライラする症状)といった直接関係する症状のほか、冷え性や頭痛、肩こりやむくみなど、すぐには理由がわかりづらい症状にも漢方は有効です」

ところで、“漢方”と聞くと、「高額なもの」というイメージがないでしょうか? 定形先生が院長を務めるクリニックでは、漢方治療に対して健康保険を適用し ています。最近ではこのように保険適用内で漢方薬を扱う病院が増えつつあるそうで、これから漢方はもっと身近な存在になっていくのかもしれません。けれど も、私たちが知る高額な漢方薬と病院で処方してもらう漢方薬では、いったい何が違うのでしょうか?
「漢方専門店や一部の薬局で販売されている漢方薬は自分 で煮出して飲む煎じ薬が多く、保険が適用されない場合がほとんどです。一方、病院で処方している漢方薬は、症状に合わせて調合した漢方薬をフリーズドライ で粉状にした薬になります。効果として粉状のものが煎じ薬に劣るというわけではありませんが、一部、保険の範囲では対応できない種類の生薬があるため、金 額の違いが生じています。もし、『生薬が7種類入った薬に、保険適用外に指定されている1種類を追加したい』ということになると、病院の保険の範囲内では 対応できなくなってしまうのです。細かい調整を求める場合は、専門の医院で処方してもらう方がいいでしょう。また、漢方薬はあくまでも薬なので、稀に副作 用が出る人もいます。定期的にクリニックに相談して、診てもらうのがいいですよ」

漢方薬は、西洋薬に比べて効き目がマイルドなものもありますが、風邪薬など、即効性があるものも多くあります。個人の体質の差や症状の差によって効き方も それぞれ異なり、すぐに効果が表れる人もいれば、長い時間をかけてじっくりと治していくような方法もあるそうです。まずは、専門家のドクターに相談するこ とをおすすめします。
「つらいときやだるいとき、漢方を使って元気を少し取り戻せることがあります。『こんなの病気じゃないわ』と思うかもしれませんが、肩肘張らずに気軽に病 院を利用してみてください。働くお母さんは我慢してストレスをためてしまうことが多いから、あまりがんばりすぎないことが大切ですよ」

【access】
ダイナメディカル根津クリニック
東京都文京区根津2-14-9
ダイナシティ文京根津1階
03-5815-8687
http://nezu-clinic.main.jp

[ チルドリン vol.09 2007年発行より ]